名古屋大学は、アジアサテライトキャンパス学院を通して、博士の学位取得を希望するアジア諸国の政府幹部等に対して特別な博士課程プログラムを提供しています。サテライトキャンパスと本邦キャンパスとの連携による博士課程プログラムで、学生は長期に職場を離れることなく専門分野の知識と経験を深め、博士の学位を取得することができます。
- 指導教員やその他本邦キャンパスのスタッフによる密接な研究指導
- 最先端の遠隔教育及び通信手段による定期的な授業・研究指導
- 自国内における学術的・技術的支援
- 本邦キャンパスでの短期集中講義・研究指導
- 英語による指導、助言、学務関連文書の提出
- アジアサテライトキャンパス学院はアジア諸国の国家中枢人材養成プログラムを実施するために構築されました。2024年現在、アジア地域に6つのサテライトキャンパスが設置され、名古屋大学の7つの研究科がサテライトキャンパスのオンラインでの講義、指導教員の現地への派遣、名古屋のメインキャンパスでの集中講義・研究指導による博士後期課程のプログラムを提供しています。さらに参加する研究科の追加が予定されています。
- 現地に専任スタッフを配置し、ICTを活用することで、サテライトキャンパス学生と本邦キャンパス間の緊密なつながりを形成しています。
- アジア諸国の国家中枢人材養成プログラムの趣旨として、それぞれの国で指導的な立場を目指す中堅までの政府官僚、専門家、大学教員などが対象になるプログラムです。
研究分野 | 取得出来る学位 | 修業年限 | |
---|---|---|---|
教育発達科学研究科 |
教育科学 心理発達科学 |
博士(教育学) 博士(教育) 博士(心理学) |
3年 |
法学研究科 | 法制度設計 | 博士(比較法学) | 3年 |
医学系研究科 | 医療行政学 | 博士(医学) | 4年 |
工学研究科 | 環境土木工学 | 博士(工学) | 3年 |
生命農学研究科 | 農学一般・生命科学・農業開発 | 博士(農学) | 3年 |
国際開発研究科 | 経済・社会開発 | 博士(国際開発学) | 3年 |
生命農学研究科 | 環境問題・環境政策 |
博士(環境学) 博士(地理学) 博士(経済学) 博士(法学) 博士(理学) 博士(社会学) 博士(工学) 博士(建築学) 博士(環境学) 博士(地理学) 博士(経済学) 博士(法学) 博士(理学) 博士(社会学) 博士(工学) 博士(建築学) |
3年 |
本学はアジアサテライトキャンパス学院を2014年に開設し、これまでに8カ国(ベトナム、モンゴル、カンボジア、ラオス、フィリピン、ウズベキスタン、アフガニスタン、キルギス)の政府機関・研究所、大学、国際研究機関から、6研究科(教育発達、法学、医学、生命農学、国際開発、環境学)の博士後期課程に100名を超える学生が入学して、40名を超える学生が修了し、博士学位を取得してきました。さらに2024年からは工学研究科もこのプログラムに参加します。この過程で、当初からオンラインによる教育・研究指導を実施してきており、その有用性と課題、また分野の特性に十分配慮した対面指導との組み合わせによる効果を実証してきました。
研究面では、アジアの研究者、教育者と共同で実施する研究指導によって、他の追随を許さず名大にしかできない質とオリジナリティーの高い研究成果が生まれること、またその成果が東海国立大学機構として取り組むことによって一層発展する可能性を示してきました。
具体的には、アジアとともに学び、アジアでなければできない、オリジナリティーの高い研究が進められてきました。本事業の学生は、各国でそれぞれの社会の重要課題に取り組んでいて、極めて重要な情報と課題意識を蓄積した上で入学してきます。地域に実在する課題を、アジアの研究者・学生とともに基礎科学の力で掘り起こし、その成果を国際学術雑誌に国際共同論文として発表することによって、グローバルな研究成果として、世界の研究者からアクセス可能な情報として発信する役割を、本学サテライトキャンパス事業は担ってきています。これらの博士学位研究で取り組んだ研究課題は、修了直後からその課題解決に向けた新たな研究として、修了生と指導教員との間で進化し続けています。このように、本事業は、博士後期課程学生の育成を元に、その人材をイーコルパートナーとして共同研究、共同事業を企画・立案、展開していく新しい段階に入って、本学の国際化の方向と調和を図りつつ発展しています。
こうした成果を踏まえ、本学サテライトキャンパスで学ぶ学生を対象とした、国際機関などからの奨学金制度が整備されつつあります。このように、これまでに長い時間と多大な労力をかけて構築してきた信頼関係を土台とし、本学で学びたい関係と環境を一層整備していくことが非常に重要です。アジアサテライトキャンパス学院が、本学のアジアのハブとしての機能を一層強化し、その国際化に一層の貢献を果たすよう取り組んでいく所存ですので、ご指導、ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いします。
名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院長
山内 章